多賀の自然と文化の館


ナウマンゾウの化石


●芹川のナウマンゾウ化石
●化石大量発見のなぞ
  ・象牙化石の発見など
●ナウマンゾウってどんなゾウ?
●ナウマンゾウのオスメス

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芹川のナウマンゾウ化石とその発見地点
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芹川でのナウマンゾウ化石大量発見のなぞ
━次の発見者はあなたかも!━

芹川の河原 芹川の河原



ゾウの歯の見つかる川

ナウマンゾウの右下顎第3大臼歯  多賀町の久徳〜中川原にかけての芹川の河原では,たった2kmぐらいの範囲から,今までに18個ものナウマンゾウの化石が見つかっています.その大部分は臼歯(きゅうし━奥歯です)の化石で,15点あります.左の写真は,その一つで,右の下顎の第3大臼歯といってヒトでは“おやしらず”にあたる歯の化石です.芹川では臼歯の化石の他にカーブにそって測った長さが2m10cmもある切歯(象牙)の化石,切歯のかけらと骨片が各1点見つかっています.このように狭い範囲からゾウの化石がたくさん見つかる地点は日本でも数ヵ所しかありません.
 1916年(大正5年)頃,野村海蔵さんという方が子供のころ,中川原付近の河原で臼歯の化石を拾ったのが始まりで, これまでに多くの地元の方によって15点の臼歯の化石が発見されました.

本当はどこに埋っているの?
−対立する2つの説−


 ナウマンゾウが日本にいたのは約30万年前から約3万年前までです.芹川のナウマンゾウはそのうちのどの時代のものでしょうか? また,ナウマンゾウがいた時代のこのあたりの様子は,どんなだったのでしょうか? そして,なぜここで化石として残ったのでしょうか? これらの問いに答えるためには,化石そのものだけでなく,その化石が入っていた地層をよく調べる必要があります.
 ところが,芹川のナウマンゾウ化石は川の中で拾われたもので,本当はどこから流れてくるのかが,なかなか分かりませんでした.化石がどこに埋まっていたのかがわからなければ,化石が入っていた地層も分かりません.これでは,ナウマンゾウがいつの時代のものか,どんな環境でくらし,化石になったのか,などを考えることができません.
 そこで,ナウマンゾウがいったいどこに埋まっていたのか,2つの推測が長い間対立していました. その1つは,発見場所の近くかその上流の,芹川や四手川の河原にナウマンゾウがいた時代の地層があって,そこから洗い出されてくる,という考え.2つ目は,芹川の上流の石灰岩の割れ目にナウマンゾウの化石がたまっていてそこから削り出されてくる,という考え方です.

切歯化石の発見─化石を含んでいたのは川底の地層そのものだった

1998年11月1日,カーブにそって測った長さが2.1mもある切歯(象牙)の化石が発見されました. 発見したのは小早川隆さんら,滋賀県内の学校の先生たちです.芹川のナウマンゾウのナゾを解こうと,20年間にわたって芹川を歩きつづけた末の「執念の発見」でした.  見つかった切歯の化石は,ねじれや曲がりが強いなど,ナウマンゾウの切歯の特徴をそなえています.  この切歯の化石は,河底の礫層(れきそう━石ころが集まった地層)にうまったまま発見されました. ナウマンゾウの化石をふくんでいたのは,川底の礫層だったのです.この付近の川底に露出しているこの礫層は,ナウマンゾウがいた時代の川によって作られたものである可能性が出てきました.
切歯化石 切歯の発見
姿をあらわしたナウマンゾウの切歯化石 発見直後少しだけ掘り進んだところピースしているのは第一発見者の小早川隆氏

ナウマンゾウってどんなゾウ?

 日本にやってきた10種類ばかりのゾウのなかで,ナウマンゾウは比較的新しい時代のもので,日本ではいまから約30万年前に現れ,約3万年前にいなくなりました.北海道では,さらにそのあとの時期までマンモスゾウがいましたが,それ以外の地域では日本最後のゾウ,という事になります. ナウマンゾウは,地面から肩までの高さが1.9m〜2.7mで,現在のアジアゾウと同じぐらいか一回り小さい程度の大きさでした.おでこがベレー帽をかぶったようにふくらむ.背中を横から見ると肩と腰の部分がやや高い.オスは強く曲がっていてねじれも強い,大きなキバを持つ.等の特徴があります.
ナウマンゾウと現在のアジアゾウやアフリカゾウとの関係は?
現代型のゾウ━「ゾウ亜科」
 ゾウの仲間は現在ではアジアゾウ,アフリカゾウの2種しかいませんが,過去にはたくさんの種類が現れて,世界中に広がりました.現在化石で知られている種類を数えると約160種類になります.
 ナウマンゾウは,そのなかで,化石で出てくるマンモスゾウ,現在のアジアゾウ,現在のインドゾウなどと共に,"ゾウ亜科"というグループに入ります.ゾウ亜科は,1000万年ほど前にアフリカで生まれ,その後世界中に広まった大きなグループで,5000万年にもわたるゾウの仲間の歴史のなかでは比較的新しい,"現代型”のゾウのグループと言えます.
ゾウ亜科の中で
ゾウ亜科には化石で知られているものを数えると40種ほどのゾウが含まれますが,5つのグループに分けられています.@プリメレファス属(ゾウ亜科全体の祖先型)Aロクソドンタ属(アフリカゾウの仲間)Bエレファス属(アジアゾウの仲間)Cマムートゥス属(マンモスゾウの仲間.日本にきたシガゾウやケナガマンモス=狭義のマンモスを含む)Dパラエオロクソドン属(ナウマンゾウの仲間)です.
 ナウマンゾウはその中でDのパラエオロクソドン属の1員です.

ナウマンゾウのオス・メス

ナウマンゾウについては,図のようにオス・メスの違いがよくわかっています.オスの切歯(象牙)は,太さが15cm程度長さが最大2.4mもあるのに対して,メスのキバは,太さが6cm程度,長さが60cmくらいしかありません.多賀町で1998年に発見された大きな切歯(象牙)の化石はオスのもの,ということになります.


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